20210107「”ごめん、いま六日町に居るんだ”~寒波の新潟雪中行軍~」1日目
序文
時間の問題とは言われていたが、沿線自治体で協議がまとまったということもあり、遂に決まってしまった。
北海道には何度も出かけたことがあるが、日高本線は盲腸線ということもありこれまで乗ったことが無い路線だった。情報を調べてみると週に2、3日しか営業しないみどりの窓口がある浦河駅や、常備・補充券の取り扱いがある様似駅など興味深い情報が出るわ出るわ。時は令和2年12月初旬、例の感染症の影響であまり遠くへ行くべきではないことは承知していたが、go toキャンペーンも続いているし一人旅だし大丈夫だろうと、翌月の遠征挙行を目指し切符や宿の手配を済ませたのだが…
下旬から感染状況が瞬く間に悪化し、1月8日には首都圏1都3県限定ながら緊急事態宣言が発出されることとなった。(14日からは対象拡大)
正直、行くべきか迷ったが、長野県北信周辺ではそこまで感染拡大していなかったこともあり、所属長からは「宣言対象地域に立ち入らないなら」という条件で許可をいただくことができた(ありがとうございます。)。
というわけで遠征決行を決めたはいいのだが、出発日である1月8日(金)が近づくにつれ、今度は天気予報の歯切れがよくない。なんでも数年に1度の大寒波とのことで、特に新潟県で大雪の可能性大とのことだ。これは大変だ。
実は今回、関東圏への立ち入りを避けるために選んだ航空便は新潟空港発新千歳空港行であった。特に天候に問題が悪くなければ、8日午前で仕事を切り上げた後にマイカーで新潟に向け出発し、夕方1800に発つ飛行機に搭乗予定だったが、大雪の中での運転は不安で極力避けたい… こうして、数日前から予定の再構築を迫られることとなった。
既に航空券は取ってしまったから新潟から飛ぶのが大前提だが、万が一飛べなくなったらどうするか。思いついたのが新潟から会津、郡山を経由して仙台空港へ向かうエスケープルートだ。新潟~仙台間のメインは高速バスとのこと。飛行機も高速バスも感染症のせいで減便が多いが、どうも新潟駅を1150に出発する会津若松行バスに乗り、終点で仙台行バスに乗り換えるのが当日中に新千歳空港にたどり着けるデッドラインであるということが分かった。
となれば、8日正午から動き出していたら仙台空港へは間違いなく着かないし、新潟には少しでも早く到達していた方がよさそうだ。こうして急遽8日は1日休みを取り、7日の終業後に新潟へ向かうことが決まった。地獄への歩みになることも知らずに…
暗雲
1月7日(木)、職場での昼休み、毎日流れるNHKラジオの昼のニュースで流れた速報は弊課に笑撃をもたらすことになる。
「今入ってきた情報です。JR東日本によりますと、北陸新幹線は『車内にもやがかかっている』との情報があり、現在運転を見合わせているとのことです。繰り返します…」
これはえらいことだ。つい数分前、ネットで新潟方面の在来線運休の知らせを確認し
「今日は仕事が終わったら新幹線で新潟へ行きます!」
と声高々に職場に宣言したところだ。すかさず
「お前は本当に嵐を呼ぶ男だなあwwww」
「北海道どころか新潟すら行けないんじゃないかwwww」
と執拗なイジリをいただく羽目になった。
結局すぐに運転は再開したのだが、このもやは後に暗雲となり筆者をどん底に陥れることを、当時は知る由もなかった。
出発
職場の皆様からの
「新潟まで無事に行けるといいねww」
と生温かい声援を背に4時過ぎに定時退勤をし、全速力で自宅へ帰宅。
着替え、キャリーケースを引きいよいよ出発。まずは長野駅へ向かう。
午前中のもやとは別件で北陸新幹線も遅れ、上越新幹線も遅れている模様。明日もどうなるか分らんな。今日のうちに出発してよかった。
長野~高崎間は学生時代、帰省に何度も乗車した区間だが、いつの間にか携帯の電波が入るようになっていた。この区間はトンネルが多いが電波が入らず、かつては不便だったものだが…
1時間かからずに高崎に到着。高崎からはMaxときに乗車する。
◇第2車両 JR上越新幹線 Maxとき337号 高崎⇒新潟
JR東日本の路線の乗車率は8割近いが、上越新幹線の高崎~長岡間は実は未乗区間だ。こんな形で上越新幹線の完乗を達成するとは思わなかった。
またE1系を含めてMaxと呼ばれるオール2階建て新幹線にも乗ったことがなかった。このE4系も近いうちにE7系に置き換えられ姿を消すことが決まっている。それはすなわち「Maxとき」「Maxたにがわ」の愛称の消滅も意味している。引退までに1度は乗ろうと思っていたから、図らずも1つミッションを消化でき、いい機会となった。
新潟に1時間強で到着。あっという間だった。
万代口を出ると外は吹雪だった。風による寒さは長野には無いもので中々体に応える。
この日は宿を確保していなかったため、まずは宿探しからだ。普段であればネットカフェや個室ビデオに入るところだが、感染症禍ではそれなりのホテルに泊まるようにしている。
Google先生であらかた見当をつけ、1件目、2件目と電話してみるも、いずれも満室とのことだった。このご時世宿泊業界も苦境が報じられているので面くらったが、この天気では帰れないサラリーマンが泊っているのだろう。
3件目でようやく確保ができ、万代口から歩いて2、3分のビジネスホテルにチェックインすることができた。
部屋に入り少し休んだ後に万代橋を渡り夜の古町方面を探索してみることにした。駅前からBRTに乗る。
強風で積もった雪が舞い上がり容赦なく体を襲う。人通りも少なく、実に寂しいものだった。終バスが終わってしまい、あまりに寒かったので帰りはタクシーを使ったが、初めてトヨタのJPN Taxiに乗れて少しだけ得した気分になった。料金は1,080円也。
帰ってくると雪は小康状態になっていた。明日の夕方までなんとか天気が持ってくれればいいが… 不安を抱えたまま床についた。
〈続く〉
はじめに
序文
令和3年1月…
とある感染症が全世界で猛威を振るい外出すら満足にできない世の中になってしまった。
旅行、声優イベント、野球観戦…当たり前だった日常がこんなにも尊いものだったとは。鬱屈とした日々を過ごしている人は自分だけではあるまい。
さて上に挙げた当たり前だった日常の一例は筆者の趣味の一部である。一昨年までは土日に加え時々有給休暇を取得しながら、事あるごとに日本中を飛び回っていたものだ。幸い職場(現所属)では趣味に対して理解のある上司や先輩に恵まれ、時間がありあまっていた大学時代とまではいかないが、当時とは比較にならないほどの資金を手に、自由に遠征をさせてもらっていた。
「やっぱりRhodanthe*は最高でしたよ!往復高速バスで行ったかいがありました!」
「バスに乗り継ぐために山道を8km歩いてきました!しんどかったなあ」
「今回の遠征でJR東海の在来線を完乗しました!」
といった具合で職場で遠征の報告をするわけだが
「お前それは何のためにやってるんだ?」
「ブログでもやってんのか?」
と言われることが多々あったのだ。
確かに自分が作成する旅程は常に限界旅行(後述)。傍から見れば異常としか思えない行程を職場で披露するたびに
「その旅行記で金取れるレベルだろw」
とありがたいのか嘲笑に似たありがたくないのか分からない言葉をいただくのである。
そんな折に襲来したこの感染症禍。
これまでのように気軽に遠征に行けなくなり、過去の写真や収集物を眺めて遠征の思い出に浸っていたその時ふと思った…
「さすがに金が取れる代物とは思わないけど、大学時代からそれなりにおもしろい旅をしてきた自負はあるし、せっかくだから昔を振り返りつつ紀行文書いてみっか」
このブログの内容
筆者がこれまで行ってきた限界旅行(遠征)について忘備録がてら書き記す紀行文。
基本的には帰ってきてからその都度最新の旅について投稿する予定だが、時間のある時には過去の振り返りも投稿したいと思っているので、投稿順と遠征時系列は間違いなく一致しない。(タグ付けなど分かりやすい分類方法を研究します。)
筆者について
20代後半。男。独身。長野県北信地方在住。
基本土日休みの社会人4年生。(R3.1現在)
大学4年間は群馬県在住。旅好きが高じ地理学ゼミを専攻。
小さい頃から鉄道が大好き。大学時代から国内鉄道完乗を目指し乗り鉄業開始。
切符、記念スタンプ、御朱印、御城印、鉄印など収集癖が強い。
社会人になってからは某バス旅番組に感化されバスにも興味を持つ。
R2.10より念願のマイカー所有者になりドライブ熱も急加速。
各地に残る昔の痕跡が好き。一昔前の看板やGMS、時代に取り残された夜街など。
にわかアニメ・声優ファン。Rhodanthe*はいいぞ。推しは東山奈央さん。
限界旅行とは
効率のよい快適な移動に重きを置く現代社会に一石を投じる旅行スタイル。
列車移動であれば追加料金がかからない種別が基本。始発に乗るためなら朝4時から1時間歩くのは当たり前。乗り継ぎのためなら何キロでも歩く。停車時間が3分あれば駅スタンプと途中下車印が押せる。
車であれば高速道路はお金がもったいない。下道で景色を楽しみながらゆっくり行こうよどこまでも。
宿泊地はビジネスホテルなんて贅沢の極み。ネットカフェ、個室ビデオ、時には野宿、車中泊まで。
…といった具合に、安くかつエクストリームに、本来は手段であるはずの移動そのものも体力の限界まで楽しむのが限界旅行だ。多くの目的を達成したいけどとにかくお金がない、そんな大学時代に編み出した旅行スタイルだが、社会人になった今でも続けているのはなぜか。
ちなみに「限界旅行」という言葉は大学からの友人が使っていたフレーズである。半ば無許可ながらありがたく拝借し使わせてもらっている。
跋文
こんな大したことのない文章を書くのに3時間もかかっている。
最近仕事でステークホルダーにプレゼンや説明をする機会が増えた。そのあとの議事録作成まで含めて、自分の文章力や表現力の無さに絶望する毎日。そんな自分の文章力を向上させるというのが、弊ブログのサブテーマだ。自己の自己による自己のための自己満ブログであるから、「世界中に発信する」なんて大層な野望もないので、時間が有り余って仕方がない時の暇つぶしのツールにでもなれば幸いである。